取り組み・活動報告

【島津製作所】マイクロプラスチック向け粒子解析システムを発売 赤外顕微鏡・赤外ラマン顕微鏡で粒子の質量と体積の迅速かつ正確な測定を世界で初めて実現

2025.08.06

島津製作所は、世界的な社会問題となっているマイクロプラスチックの分析に特化した粒子解析システムを国内外で発売します。本製品は、赤外顕微鏡もしくは赤外ラマン顕微鏡の測定結果から、マイクロプラスチックの個数や面積※1、体積※2、質量※2、成分などを短時間で算出できます。赤外顕微鏡・赤外ラマン顕微鏡でマイクロプラスチックの質量と体積を自動で解析できる分析計測機器は世界で初めてです。

本製品は赤外ラマン顕微鏡もしくは赤外顕微鏡をベースに、新開発の粒子解析プログラムを追加搭載する専用ソフトウェア「AMsolution」と合わせて使用するシステムです。測定した粒子の面積から質量を算出する理論式は、愛媛大学大学院理工学研究科の片岡智哉准教授らのグループによる研究に基づいています※2。

マイクロプラスチックとは、波や紫外線などによって細かく砕かれた、直径5mm以下のプラスチック粒子です。生物が摂取して体内に蓄積することで、生態系全体への影響が懸念されています。その分布実態の把握には、プラスチック粒子の様々なデータの解析が欠かせません。赤外ラマン顕微鏡「AIRsight」は赤外分光法とラマン分光法を兼ね備えた世界初の顕微鏡システムで、赤外顕微鏡「AIMsight」は赤外線を照射して対象からの反射・透過率を調べることで、微小な対象物にまつわるデータを自動測定できます。いずれの装置も化学や電機・電子、機械・輸送機器などにおける異物解析や品質管理だけでなく、近年はマイクロプラスチックに関する研究現場で活躍してきました。

島津製作所は、プラスチックの種類を判別するフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)や、個数や形状を測定する粒子画像撮影装置、マイクロプラスチック分析の自動前処理装置「MAP-100」など、近年世界的に活発なマイクロプラスチック研究を多様な製品群で支援してきました。今後はそのラインアップに本システムを加えることで、多角的な環境調査・研究に貢献していきます。

 

  • ※1 長径、短径、フェレ径
  • ※2 日本国内17河川35地点で採取した4390個のプラスチック微粒子の質量をウルトラミクロ天秤で計測し、粒子の質量と投影面積に有意な幾何学的な関係甲斐があることを明らかにした。
    Geometric relationship between the projected surface area and mass of a plastic particle, Tomoya Kataoka, Yota Iga, Rifqi Ahmad Baihaqi, Hadiyanto Hadiyanto and Yasuo Nihei, Water Research, 261, 122061,doi: 10.1016/j.watres.2024.122061, 2024 (September 1).
    https://research.ehime-u.ac.jp/post-ja/post-1497/
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